バンド仲間でもある高校からの同級生、Teru氏から誕生日プレゼントにこの本をもらった。

2016-09-23-19-54-02

「ロックンロールが降ってきた日」
表紙に書かれている人達が最初にいかにしてロックに触れてミュージシャンになったのか、
それがとても面白かった。

こんな自分ですらそういうエピソードはあるっちゃああるんですけども
誰も聞きたくないだろうし、もしかしたらこのブログのどっかに書いてるかもなので
ここでは割愛しますw

Teru氏は筋金入りのコレクターズファンなので、加藤ひさし氏と古市コータロー氏の
エピソードを目当てにこれを読んだのだろうけども、そのお二人以上に僕は
仲井戸麗市(チャボ)氏、そして超大御所のムッシュかまやつ氏のエピソードに
ものすごい衝撃を受けた。

特にムッシュ氏のエピソードがやはり黎明期から音楽ビジネスに関わって来ただけあって
カントリー&ウェスタン~スパイダーズの流れがまるでおとぎ話の様に見えました。

そしてGSブームの際にプロ作家が書いた曲を一切やらずに
自らの事務所を設立して自作曲で独自の路線を歩んだスパイダーズの人だけに

AマイナーからいきなりDマイナーに行っちゃう曲があるでしょ。
音楽的に言うと「あ、そこちょっとFmaj7経由してから行って下さい」と。
昔はAマイナーからDマイナーに行かないと売れなかったんですよ。
でも今の時代はFmaj7が入っても売れるようになってよかったな、みたいな。

なんていう「なるほど」って話も読めたりしてとても興味深かった。

特にラストのこれ。

常に人が手がけたことないような物を探していますね。
だから僕、今でも興味のあるバンドに近づいていって結局一緒にやるんですよ。
相手の手の内に入るとやり口っちゃあ変だけど「あ、そうなんだ」って
自分自身こういう風には出来ないけど、意識がちょっとやる気になるんだよね。
「よし、そっか」みたいな。
それが僕の喜びだったりしますね。

声をかけるときはこっちからかけますよ。
だって向こうは声をかけてくれないんだもん(笑)
こっち側から声かけないとダメですよ。
僕等が若い頃、年寄りのバンドやなんかは「何、うぜえ」って言ったぐらいですし。
(中略)

「クラブに出てるようなバンドが旬だ」みたいな考え方ってあるでしょ?
音楽文化ってそうじゃないですか。
そういう事はいつも僕は気にしていますね。
他人から見て古ぼけてんのはいいんだけど、自分自身が古ぼけちゃうって
一番情けないから。やる意味がなくなっちゃいますからね。
自分の中で古ぼけないようにしようってのはありますね。

現在77歳のムッシュ氏が「未だに自らを未完成」と称しているのと
ずっと謙虚さを忘れずに色んな人に自分から声をかけていってる事に驚きました。
もしかしたらそれこそが「一流」である最低限のマナーなのかも知れません。

自分自身の仕事であれ、ギターの事であれなんでもそうなんですけども
「自分は完成してる」と思った時点で、周りから見ると古ぼけてしまうし
どうしてもその周りとは対等ではなくなってしまいますよね。
仲間ではなくて批評家としての目線になってしまったり
人の悪いところだけを探すようになったり。

とはいえ、僕自身は多分死ぬまで完成なんて出来ないだろうなとも思います。
色んな人と自ら交わっていって、新しい物を吸収しつつ
常にアンテナを磨くような人達が集まるからこそ、良い物が生まれる。
年上も年下も、先輩も後輩もなくフェアな環境をそれぞれ自ら作り出していく事が
みんなが幸せになる第一歩なんでしょうね。
それだからこそ毎日にも緊張感が出てくるし充実もするのでしょう。

僕自身もそうありたいな、と思いながらこれからの日々を過ごしたいです。

ムッシュ氏、今は闘病生活で大変でしょうけども復活をお待ちしています!