別にZEPや佐野元春の事を書きたいわけではなくて、
ちょっと信じられないのがこの事件の内容である。

19歳イケメン装い少女を次々…ブログとメールで“服従”させた41歳・無職男の「驚愕猥褻」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130216/waf13021607010000-n1.htm

41歳といえば自分と同い年なのだけれども、よくまあそんな子供に対して
そんな事ができるもんだな、と思う。

それにしても、ですよ。
以下の引用部分がどう考えてもおかしすぎると思うんですが。

「今度会おうよ」。女子生徒の心をつかむと、福本被告はいよいよ仕上げにかかる。「大好きな彼にやっと会える」と期待に胸を膨らませる女子生徒。だが、待ち合わせ当日、姿を見せないで1通のメールを送りつける。「遅れるので友人とホテルで待っていてほしい」。

しばらくすると、気落ちした女子生徒の前に男が姿を現す。19歳のイケメンとはかけ離れたくたびれた中年男。それが福本被告だった。普通なら疑うところだ が、恋に落ちている女子生徒は「大好きな彼が自分を裏切るわけがない」と、福本被告に連れられるままラブホテルに入ってしまう。

おいおいおいおい、待て待て待て。
どう考えても意味がわからない。

それまでメール、そしてブログという言わば「所詮テキスト」でしか
相手を認識するアイテムがないのに、なぜ最初に会う段階でそうなるのかね。
被害にあった方には大変申し訳無い言い方になるけれども
被害者の親は一体どういう教育をしていたんでしょうか。
「知らない人には付いて行ってはいけません」は基本中の基本でしょうに。
たとえテキストでのコミュニケーションが前もってあったとしても、
そんなものは幻想と願望が入り混じった自分に都合のいい偶像にしか過ぎないのに。

とはいえ、最近はいい大人が「メルカレ」とか「メルカノ」とか言う
非常に気持ち悪い事を言ってたりするから、起こるべくして起こった今回のケースなのかも。

人と人とのコミュニケーションは「やりとり」から生まれるものだけど
まずその相手が実在していて、まともなやり取りが出来るか否かというのを
見極めないといけません。

一番簡単なのは、オンラインロールプレイングゲームで女性キャラを作ればいい。
発言色をピンクに設定して「こまったな~・・・始めたてで全然わかんないよー」とでも
人がたくさんいる町中で発言してみればいい。
あっという間に武器とか防具はそろってしまうから。そう、女性キャラならね。

僕も女性キャラを作ってよく武器とか防具を揃えてたものです(笑)
まさか向こうもおっさんが動かしてるとは思ってないでしょう。
でも、それが目の前の現実だったって事。

テクノロジーが進んだおかげで様々なコミュニケーション方法が増えました。
顔も知らない人間とのやりとりを簡単に始める事ができるという点は
「ペンフレンド募集」の時代と比べてずいぶん進化したものです。

しかし、それと反比例して「警戒心」をなくしてしまったらいかんでしょう。
手軽に知り合える時代になったのなら、これまで以上に慎重にならないと。

情報発信、そしてやりとりが簡単に行える現在、
「やりとり」に対してのマナーが失われてしまった事が、今回の事件を生んだ背景でしょう。

いきなりわけのわからない内容の長文を送りつけてきて
「なんだこいつ?」と思っている間に次の長文が届き、
「気持ち悪いな・・・」と思って放置してると、どんどん内容がエスカレートしていき
もうなんの事を言ってるのかさっぱり理解できない、というのは
とてもよくあるお話ですけども、これも「やりとり」というマナーそのものを
完全に見失っているケースですよね。
返事がない、という事は「返事するに値しないから」という事もわからないわけですし。
その辺の空気すら感じ取れないのが、またいい大人だったりするから始末が悪い。

ツイッターの有名人アカウントに「誕生日おめでとう、と言ってください」とか
「なんでリプライくれないんですか?」とか言ってる人もこれと同じ。
失礼にも程がある、と僕は思ってしまうんですよね。

テクノロジーが進化しツールを入手して、そのツールとテクノロジーに
人間性を振り回されてるようじゃ、こんなニセ19歳の41のおっさんに引っかかるわけですよ。

妄想と願望、よりは目の前の現実ですよね。
そのバランス感覚は結局自分の身を守る事になるのですから。