出入りしている所にいつも恋愛についての話をしている女性がいる。
「そういう場合は~やっぱり彼氏がこうしてくれないと~」
「ああいうタイプの男の人は~意外と奥手だから~」
いつ、どんな時も絶対この手の話しかしていない。
これがまだうら若き乙女なら許せるけど恐らく団塊ジュニアの自分より年上。
要するに自分がおっさんだから、その人はおばはんである。

聞かされている側(年下の男性)は、一応相手が年上だからなのか
とても律儀に話を聞いて、それなりに返してはいるんだけど
ハタから見ているとなんかとてもかわいそうになってしまう。
というか自分なら無理だ。

「恋愛に年齢なんか関係ない」なるほど、そりゃそうかも知れん。
しかし、年を召された大人の女性が仕事場での話題がそればかりというのは
あまりにも空気が読めてなさすぎる。
女性ばかりの職場ならまだそれもよかろう。
恐らく豊富であろうそなたの経験を、たっぷりとまだ何も知らぬ乙女に
聞かせてあげればよいと思う。
もうすっかりガールではないけどガールズトークに分類されるかもしれない。
世間が見たら何と言うかは知らないが、それならまだいいんだ。

でもおばさんの恋愛話を聞かされる若い男の子、となると話は別だ。
せめて・・・せめてそれなら男の子の話を聞いてあげてから彼にアドバイスだ。
まだ年端もいかぬ若い兵士に戦場での作法を教える老戦士の様に
「おい若いの。戦場ではコレ(腕をパンパンと叩いて)が物を言うんだぜ。」と
ナナメに加えた両切りキャメルをふかすアレック・ギネス的な振る舞いなら
まだ絵になるけど、一方的にババアの妄想を聞かされるのは苦痛以外に言葉は見つからない。

そんな矢先、某SNSに「友達かも」と表示されたのがその女性。
クリックして飛んでみると予想通りのワールドが展開されていた。
シェアされる恋愛名言!シェアされるポエムブログ!
「ハグっていいよね」じゃねえよ。バグってんのか貴様。
ああ、これをなんと呼べばいい?そう、テンプレートだ。
近づいたらヤケドしそうなほどアツイ、じゃなくてケガしそうなほどイタイ。
初回から長文メールが2通ぐらい届きそうな危険な香りがプンプンする。

なるほどな、と声に出さず呟いてそっとブラウザを閉じる。
先に口に出るのがそれ、という事はそれが一番大事なんだろう。
もう中年と呼ばれる年齢なのに、相手があって初めて成り立つ物が一番大事、って
他に自分で積み上げた物がないが故なのだろうか。

じゃなくて、こりゃあ単にTPOの問題か。
年齢に応じた振る舞いがそこの空気を読みながら出来ないって事だろうけど
そんな事は恐らく二の次なんだろうなあ。