最近話題になったのがMrs. GREEN APPLEの新曲「コロンブス」のMVが大炎上、という事件。
ちょうど配信開始された日の朝、子供らと朝飯食べながらテレビ観てたら情報番組でそのMVが少しだけ流れてまして。
今さらコロンブスかあ、と思いつつ猿に人力車を引かせてる場面がちらっと映ったのが目に入って「えっ」と声が出た。

我々アジア人種はイエローモンキーなどと侮蔑される事が未だにあるわけで、猿に欧米人乗せた人力車引かせるとかちょっとアカンのちゃうかー、と思ってたら、その日の昼にはやっぱり大炎上となっておりました。
個人的には、そらそやろ、としか言葉が出ませんでした。

アーティストがまだ若い、とは言えディレクターや制作スタッフには我々の年代の大人がワラワラいてるはずで、誰ぞ「アカンのちゃうん?」って言う人おらんかったんかいな、と。

結局アーティストが声明文を発表して、MVは公開停止。
歴史認識だけではなく、最近で言う所のコンプライアンス的なものも色々マズかったような。

歴史の話になると、昭和時代の学校教育だけでの知識やとコロンブスって「新大陸発見」と例の「玉子立てる」エピソードぐらいよね。
そこからちょっと突っ込んでみると、スペイン軍連れて行ってアメリカ大陸のインディアン虐殺しまくったりとか、とんでもねえエピソードが満載やったりします。
当時の価値観、という事を加味したとしても明らかに現地人を見下した本人の記述が発見されてたりもするので、きっと自分が習った40年以上前とは人物の評価も変わってしもてるんやろねえ。

そういえば「大航海時代」って訳し方もどやねん、と。
やってた事は「新大陸の征服・虐殺」そのものよなあ、と原題を調べてみると
「Age of Discovery / Age of Exploration」となってて、どこにも大航海というニュアンスゼロ。

「大航海時代」の名称は、1963年岩波書店にて「大航海時代叢書」を企画していた際、それまでの「地理上の発見」、「大発見時代」(Age of Discovery / Age of Exploration)といったヨーロッパ人の立場からの見方による名称に対し、新しい視角を持ちたいとの希求から、増田義郎により命名された。

60年代の邦題、って事でしたか。
そりゃ70年代にクイーンの「Keep Yourself Alive」が「炎のロックンロール」となってしまう下地が既にあった事ですわ。
80年代だと「恋の大航海♡時代」とかになっててもおかしくない。

時代が進むとトレンドもニュアンスも変わる。どう見積もっても10年単位でバカスカ変わる。

教科書表記での40年前と現在、といえば確か・・

  • 鎌倉幕府成立が1192年(いいくにつくろう)から1185年に変更
  • 日本初の通貨は和同開珎(わどうかいほう)→富本銭(1999年に飛鳥池遺跡で発見)
  • 江戸時代の身分制度、士農工商の見直し(ピラミッド式の構図から武士以外は平等だったという表記に2000年から変更)
  • キリスト教の話で出てくる「踏絵」が「絵踏」に
  • 仁徳天皇陵 → 大仙陵古墳(宮内庁が発掘を認めないので考古学的に確定が出来ないため)

「鎖国」の表記も教科書には消えたり出たりしてるし、常に歴史認識は流動している、という事ですね。
そりゃ研究や発見で色々変わるのは当たり前の話やしなあ。

「歴史から学べ」という言葉も「歴史を常に深く追いかけろ」に置き換えなきゃなりませんわね。
昔聞いて知ってる・知ってた、だけではエライ事になるって事よね。