高校生になったらアルバイトをする、と決めていた長女。
あちこちに面接に行ったものの、意外と採用されなくて半ば投げやりになってた感がありました。

が、ようやく某大手飲食店に採用が決まり、本日張り切って初出勤してきたとの事。
皆さん、優しい人ばかりだった!とテンション高く話しておりました。

そんな早くから働かなくても、というお声もあるでしょうけども、親が子に出来る事と言えば「いずれ親が死んでも一人でも暮らす事が出来るスキルを身につけさせる事」。
なので、アルバイトに行く事自体は賛成。しかもハードめな飲食店スタッフならなおさらヨシです。

出来れば1年くらいは継続して務めてくれればなあ、と見守っていくつもりです。

1987年の思い出 ― 個人店のレンタルビデオ

思い返せば自分が初めてアルバイトをしたのが16歳。今の娘と同じ年齢というのも奇遇というべきか。

少し思い出を語ろう。あれは1987年の事。
世の中は急速にビデオデッキが普及して50%に届こうか、という時代。
家の近所に小さなレンタルビデオ店が出来て、そのお店がアルバイトを募集していてそこに応募した。

いわゆる、オーナーが娘さんにそのお店をやらせてるけども女一人だと不用心なので、という感じの募集。
18時から22時までお店で貸出業務などのお手伝い、そして用心棒のような役割。

レンタルビデオというビジネスの黎明期だったのか、今考えるとモラルも何もあったもんじゃねえ。
マスターテープとして1本仕入れた物をダビングして貸し出してたし、それに文句を言うお客もいなかった。
あの当時は世間にはセルビデオという感覚はまだなくて、1本20,000円くらいはしてたと思う。
レンタル料もそのお店は「ビデオの定価の10%で2泊3日」という設定でした。
そんな価格でも買うよりは安いわけだし、それなりにお店は流行っていた。

今思うと、いつもお店にいたオーナーの娘さんは28~33くらいだったのかな。
あんまり快活に話すようなタイプでもなく、働いてる時も雑談をした覚えが全くない。
そして、その娘さんも自分がお店に慣れた2ヶ月後くらいにはお店に来なくなった。

ある日、出勤するとオーナーがいて店の一角に新しいコーナーが出来ていた。
アダルトビデオのコーナー。そりゃ娘さんが店にいたら置けないし客も借りにくいわ。
一世風靡(男達の間のみ)した小林ひとみ嬢がデビューしたのは前年の1986年。
ビジネスチャンスを逃さないオーナーの賢明な判断だったと言わざるを得ない。

しばらくはオーナーと自分の二人で店番をしていたのだけど、もう少し慣れた頃になると・・・
「自分、もう一人でいけるやろ?」と自分が出勤したら、どこかに飲みに行ってしまうようになった。
16歳の自分にお店を一人で任せて、である。
そして22時頃に帰ってきて「おつかれさーん。ほい、これ今日の日給」と手渡しするという日常。

アダルトコーナーが出来た当初、さすがにそれを扱うのは気恥ずかしかったが、そんなものは3日で慣れる。
大学生風のお兄さんが30分くらい店内をウロウロして、意を決した様にカウンター内の高校生の自分に
「あ、あのう・・・くりいむレモンって置いてますでしょうか」と尋ねてくるカオス。
1987年、色んな何かが狂っていた。

「くりいむレモン」はいわゆるアダルトアニメの先駆けの作品で、1984年に1作目がリリースされている。
「アダルトコーナーの左側に並べて置いてありますよ。」と案内する16歳。

と、ある意味、気楽に一人店番を楽しんでたな、と今なら思える。
もっと慣れてくるとオーナーは22時どころか、日付が変わっても帰ってこない日が増えてきた。
携帯電話もまだなかった時代、連絡しようにも連絡が出来ないから待ってるしかない。
オーナーの奥さんがお店に来て「あれ????うちの人、まだ帰ってないの???」という事も何度もあった。

そうこうしてる内に大手チェーンが台頭してきて、非正規店は駆逐される事になる。
自分は結局1年もこのお店に勤めなかったように記憶しているが、辞める前に先に閉店したのかもしれない。

ただ、のんびりとお店で色んな映画を観たのも覚えてるし、アダルトビデオの入手にも全く困らなかった。
借りに来る男の気恥ずかしさと小さな勇気、をカウンターの中から目の当たりにしてきた。
不思議な事に、あの頃から罪悪感を消す為なのか「普通の映画3本+アダルト1本」という比率で借りる人は多かったのだ。
逆の比率で借りる人を見たことはなかった。ああ不思議。
AVを借りた、という事実は消えないのに。

そして、その5年後。

お客としてアダルトビデオを借りて返却する際に、レジカウンターに後輩の女の子がいて「あれー先輩!お久しぶりです!あ、返却で・・・すね・・」とものすごく気まずい場面に遭遇する事になる。

「後輩」という関係性の女の子に夜の趣味も嗜好も全てビデオタイトルからバレるというあの気まずさは忘れない。
今ならそれを茶化す事も出来よう。開き直る事も。

そのまま店を出て二度とその店には近づくことはなかった21歳。ああ、懐かしき青き時代よ(バカ)。