昨日、演奏仕事の現場で今月末で故郷に帰るメンバーと最後の仕事を終えた。
複数の人間が集まれば、その数だけの色々な事情があるのは僕達の年齢では仕方ない。
20代の頃ならば、すべての事情をどこかに置いておく事も出来たろうけども
情熱だけで突っ走れる年齢ではない事は重々身にしみている。

思えば、僕は独立してフリーになってからは、自分の意志で
どんな仕事からも抜けたことがない。
もちろん「もう結構です」「間に合ってます」と拒絶された事は星の数ほどあるわけですが
仕事が継続するプロジェクトに参加したら、常にそこに残る選択をしている気がします。

仕事が継続するという事は、もちろん代わりのメンバーを見つける必要や
その新しいメンバーに対しての資料作り、そして情報伝達などの必要もあります。
これら全てを現在の仕事と同時進行で行わければならないので、
あんまり叙情的になってしまうと、とんでもないミスをやってしまう危険性がありますから
比較的冷静に、そして客観的にその仕事を見る事が重要になります。

昨日、ある人に「最後だと言うのにいやにあっさりしてますね」と言われたのですが
それは僕が後に残る者だから、としか言えません。
もちろん、寂しい事実はそこにあるのですが、それに囚われてしまうと
すでに決まっている次の仕事が立ちゆかなくなってしまいます。
誤解をまねくような言動に見えてしまう自分も悪いのですけれど、
何度もこういう場面をくぐり抜けてきた経験がそうさせてしまうのかも知れませんね。

外から見える部分では決してわからない絆が、同じ仕事をしていた者同士にはあるんです。
同じ物を見て、同じ場所を目指した事があるからこそ
あとに残る者の義務として、その仕事を今以上にいいものにしなければならない。
それが、去っていく人に対しての最高の贈り物になるのだと思うのですよ。