美術方面に関してうすっぺらーい知識があるのは漫画「ギャラリーフェイク」を読んでたおかげです。

1992年にビッグコミック・スピリッツで連載が始まったこの漫画は2005年に32巻で完結。
その中に出てきた様々な芸術家達のエピソードから興味を持ち、ふらりと美術館に行ったりなどなど。
そっち方面に自分の興味が広がったのは、この漫画に触れたからこそ。

ま、絵を描く方となるとてんでダメなもんで見て楽しんでるだけなのですが、この「ギャラリーフェイク」、なんと2012年から不定期で連載再開しとるのを最近知りました。
32巻で打ち止めやと思ってたのが、すでに37巻まで出てるのを知って嬉しく思ってるとこです。

個人的にはアメリカの画家、エドワード・ホッパーの作品がお気に入りだったりします。
子供の頃にFM STATIONで見てた鈴木英人氏のイラストのルーツ、というかアメリカの原風景を切り取ったその画風がお気に入り。

Light at Two Lights(1927)

Light at Two Lights(1927)

ところが日本の美術館で見れる所は皆無。
今年になって、韓国・ソウルの美術館でエドワード・ホッパー展が開催されてるらしく、これはもうぜひ日本でもやってもらいたいもんやねえ。。

このギャラリーフェイクが始まった90年代といえば「絵画商法」が全盛期だった頃ですな。
ヒロ・ヤマガタとかラッセンなどなど、あの手のシルクスクリーンをローンで買わせるっちゅう奴です。
気がつくと数人のお兄さんに囲まれていて、ローン組むまで帰れないという。

同じ様な手口でお姉ちゃんに囲まれてジュエリーのローン組まされる、というのんもありました。
あれはよく暇つぶしに適当に相手して、最後に「チッ」とか舌打ちされながら追い出されたりもしましたなあ(笑)
だって、向こうの目的がはっきりしてる以上、こっちはまともに相手するわけにいきませんやん。
「この指輪だと彼女さん大喜びですよぉ!」とか言うてきても「そうですか」なんて返事したらあきません。
ガッとその手を握りしめて「俺は君と結婚したいねん。自己破産歴あるけどいい?」ぐらいの勢いで立ち向かわなければ、負けてローン用紙が出てきますが故。

宝石のお姉ちゃんにはよく声を掛けられましたが、アートの方は全然声をかけてくれなかったのを覚えてます。
絵画商法はでんでんタウン日本橋の裏通りに本拠地みたいなのがあって、ヲタストリートを歩く気が弱そうな男性に黒スーツのちょっとエロそうなお姉さんが声をかけて連行されていく、という光景をよく見かけてました。
15年ぐらい前にもまだそういうお姉さんがウロウロしてたので、自分もあんなエロい黒スーツ姉さんに声かけられてえ!と何度もヲタストリートを往復したものですが、目が合ってるのに完全無視。

キランキランのラッセンのシルクスクリーンが前に置かれ、ジャンプするイルカを見ながら強面のお兄さんに囲まれ、長期ローンを強要されてみたい。
そういう契約絡んだ口論では200%負ける気がしないので、はやくそんな場面にならねえかな!と心を躍らせてたものです。

向こうから声かけてくれないなら、こっちから声かけりゃいいのかなと獲物を探しているお姉さんに近づく。
なぜか口から出てきた言葉は

「どや。姉ちゃん、儲かってるか?」

ダッシュで逃げていったお姉さんは、何度も振り返りながら携帯電話で誰かに連絡を取ってはりました。
ちゃうねん。そうやないねん。俺をラッセンかヒロ・ヤマガタの前まで連れてってくれよ・・・

「絵売り」と「エイリアン」を掛け合わせてエウリアンと名付けられたこの商法。
さすがにこの御時世では宝石の声かけ販売も消え失せ、絵画商法もだいぶ減ったらしいですが細々と生き残ってるとか。

もうパソコン関係の買い物は全てAmazonなどの通販で済ませてしまえるために、でんでんタウンに出向く事は全くなくなりました。
あのエウリアンのお姉さん達はまだカモを探してウロウロしてるのかな・・・

そういえば今月の16日から阪急うめだギャラリーで鈴木英人氏の展示会があるそうな。

原画が見れるって事なんで、ちょいとこれは行かんとアカンかなと思ってます。