最近、仕事で出向く先には70代のおじいさんが元気に働いている。
この方は以前の「三億円事件」のエントリーでも登場した方で
元バリバリの営業マンだったけど「働いてないとボケちゃうから」と
週6日、フル出勤で働いてはります。
江戸っ子で、カラカラした物言いがとても素敵な方で
この人のお話を聞くのが楽しみでもあるのです。

そして、ここの店長さんが30歳。
とても真面目な好青年で、この不景気の中でスタッフを率いて
いろいろあるみたいですががんばって日々働いてはります。

そして僕は今年42歳。
団塊ジュニアと呼ばれる世代なのですけどもそれなりにがんばってます(笑)

今日お邪魔した際に、この3人で雑談が始まりました。
そこでおじいさんが言ったのは、「車を持つ」という事のお話。

「僕の世代はねえ。若いころは車を持つって事はそれ自体が夢だったんだよね。
それこそ車のランクでその人の全てが決まっちゃうぐらいだったねえ。
その為なら毎日醤油ご飯でもよかったぐらいだよ(笑)」

おじいさんが20歳の頃といえば1960年代前半、ですかね。
日本の高度経済成長の中で青春を生き抜いておじいさんならではのこの発言。
トヨタ・クラウンが登場したのが1955年ですから
「いつかはクラウン」のキャッチコピー(1983年)と共に働き盛りを過ごしたのかも(笑)

それに対して30歳の店長が言ったのは

「僕は逆に車を持つ、っていう事にそんなに夢を感じないんですよね。
維持費とか乗る回数とか考えると使いたい時に借りればいいかな、って。
その方が効率いいと思っちゃうんですよ。
あと、電車もバスもありますしそんなに困んないですよね。」

これに対しておじいさんは少し寂しそうに
「そっかあ。効率かあ。それも大事だけどそれを超えた部分に
僕らは夢を見てたのかもしんないねえ。
ま、今となってはタイヤ4つ付いてりゃなんでも同じだな、って思えるけど(笑)」

と返しはりました。
そのちょうど間にいる僕はどっちも理解できますけども
やっぱり車は持っておいたほうがいいなと思います。
タイヤ4つ付いてりゃ何でも・・・とは思えないですけども
それに近い部分はありますね。
僕が車に求める目的は「人と物を安全に運ぶ」ですから
30歳の彼が言う「効率」という部分で、車のグレードを割り切っているんだろうな
と、改めて思ったわけです。

僕達団塊ジュニア世代というのは、景気のいい時も悪い時も
子供心に世の中を眺めてそれとなく感じてはいる世代だと思っているんですけども
30歳の店長曰く
「僕らは景気のいい時を知らないし、節約節約で生きる姿を見て育ちましたから
所有する物に対してはやっぱり先に夢を見てはいけないような気がするんです。
との事でした。

僕自身は「世代」という大きなくくりで全てをカテゴリ分けしてしまうのは
あんまり賛成ではないのですけども、
今回のお話は「世代という空気感」を表しているような気がしました。

全てを効率だけで割り切ってしまうと、食料にしてもなんにしても
あまりいい事とは思えないよねえ、というお話に変化していきましたけども
次の世代に何かを残す、という役割も担うようになってきた42歳の僕は
改めてギュッと気を引き締めないとなあ、と思ったわけです。

”悪いことばっかり見つけないで、あわてないで探してこう”

Mr.Childrenの「箒星」の歌詞が頭に浮かんだ夜なのでした。