本日は長女の8歳の誕生日。
人の親、っつーもんになってからも8年というわけですがなんとか体裁は保ててる様子である。
最近では「○○ちゃんのお家は広くて大きいよ」などと豪速球を心のド真ん中に放り込んでくるので、女って怖えわというのをヒシヒシと感じたりもするがなんとか誤魔化している。
さて、いつもの手巻き寿司のリクエストで晩ご飯を食べてからEXPOCITYに出かける。
家のベランダからここの観覧車「Redhorse OSAKA WHEEL」が見えるので、「夜になってから乗りたい!」との事。
自分もあれには乗った事なかったので、んじゃいっちょ出かけてみるかと。
なかなかロマンテックじゃないですか。
イルミネーションに彩られた平日夜の観覧車は思いのほかガラガラで、余りまくってる従業員の数に少しだけここの行く末を見た気がする。
観覧車ってダメになっていって放置されたりするアイコンとしてのイメージが自分の中にはあるのだ。
琵琶湖のほとりに廃墟として放置された「イーゴス」や、チェルノブイリ原発事故で放置されたプリピャチ市の観覧車のイメージ。
ここの「OSAKA Wheel」の特徴は「ゴンドラの足元がシースルー」という点。
これは怖いかな、と思ったけども乗ってしまうとそんなには気にならなかった。
子供らも最初はビビっていたけども、しばらくするとなれてしまった様子。
と、こんな感じで夜景を楽しんでいたのですが、長男が足元を見ながら
「おとうさん、あれは何してんのん?」と隣のゴンドラを指さす。
「んー?」と思って見ると高校生ぐらいのカップルがね。
おっぱじめてるわけですよ。愛のバトルを。しかもかなり激しめの。
沖田浩之の「E気持」(1981)なら「Bまでいったと~アーハハハハンハ~ン」ぐらいの。
足元がシースルーって事は、真下のゴンドラが真上から丸見えって事に気付いてないのか。
「あれはやね。お医者さんごっこや」
「お医者さんごっこ?」
「そうそう。しかもあれはかなり悪いお医者さんやね」
「そーなん?わるいひとなん?」
「父」としてその場を誤魔化しながら「男」として頭の中で「あれが・・・若さか・・」とクアトロ大尉みたいなセリフが口から思わず出てしまうのだけど、いやいやそれにしてもガンガンいっとるわ。
そういえばゼータガンダムからだっけ、全方位モニターのコクピットは。いやそうじゃない。
しかしだよ。
いずれゴンドラが真上に来たら、横並びになるんだ。
さあ、どうする。どうするよオレ。
しかも真上に来たら、ちょうど外を見てるオレらとそのカップルは向かい合わせに。
そして、全力の無邪気さで隣のゴンドラに手を振り始める我が家の子供軍団。
うわ、おま、ちょwwwww
女の子の方が先に気付いて全力で男の子を突き飛ばす瞬間が見えた。
「え?何?なにすんのん」みたいな顔をする男の子は手を振る長男に気づき、ものすごくバツが悪そうに笑って手を振り返してきた。
そして僕は見て見ぬフリをする。
うっわー、きっつーこれ。
「わるいお医者さんじゃなさそーやで!」
「んー、そうかな」
これ、降りる時めっさ気まずいやん。
自分は観覧車の中でバトルをしかけた経験は一切ない、というか密室でしか力を発揮出来ないタイプなのですが、もしあれが自分だったらと想像してみるとものすごく気まずい。
走って逃げ出したいだろうな、というのは簡単にわかる。
しかし、このままなら「バイバーイ」とかやりかねへんやん子供らは。
「さて。今から観覧車降りるわけですが。」
「うん」
「あのお医者さん、もしかしたら追っかけてくるかもしれへんで!」
「ええええええ」
「やから、降りたらみんなでダッシュで競争や!振り向かずにゴーや」
観覧車を降りて、すぐさまダッシュする家族。
ちょっとだけ振り返ってみると女の子は男の子の後ろに隠れてゆっくりと降りてくる所だった。
キラキラと輝く観覧車で君と抱き合ってた男の子も誤魔化すようなテンション。
たとえ世界が終わろうとも二人の愛は変わらずに、ね。
乗客に人格者はいませんでした、いませんでした、いませんでした。
僕は何を思えばいいんだろう。
僕は何て言えばいいんだろう。
「お医者さん、追っかけてきてる??」
「いや。諦めたみたいやわ」
「よかったー」
ここの観覧車は全部から見えるから色々注意な。
お前らも大きなったら覚えときや、を伝えるにはまだ少し時間が必要なようだ。