「王様の耳はロバの耳」という童話を子供の頃に劇か何かで演じた事がある。

ロバの耳をした王様御用達の床屋が、その秘密を黙ってられなくて
穴を掘ってそこに「王様の耳はロバの耳なんだ!」と叫んだところ、
そこから蔓が生えて「王様の耳はロバの耳なんだって~」と風がそよぐ度に
ささやくようになってしまい、それが王様の耳に入るというお話。

この話の結末がどうなったかをはっきり覚えてないのですけれど
僕としてはこのお話から何を教訓として得たのかといえば
「秘密は口にした瞬間、秘密ではなくなる。人の噂話に戸はたてれらない。」
という事だったように記憶している。

結末にいくつかのバージョンがあって
「王様が秘密をばらされた時に、その人をどう処遇するのか寛容さを試している」
という意味もあるそうだけど、自分としてはあんまりピンとこない。

なんでこんな話を思い出したかというと、
ここ数日ネットで目にする2つのニュースを見て「バカだなあ」と思ったから。

21歳ローソン店員、アイスケースで寝そべった FB投稿で炎上→解雇
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130716-00000021-sph-soci

コンビニエンスストアを展開する株式会社ローソン(東京・品川区)は15日、アルバイト従業員が冷凍用のアイスクリームケースの中に入ったとして、高知市のローソン高知鴨部店を同日から休業することを発表した。ケース内のアイスの上に寝そべる写真を、6月に従業員の友人がフェイスブック(FB)に掲載。「不衛生だ」などの書き込みで炎上状態になっていた。

コンビニのアイスクリーム陳列冷凍ケースに入り、中の商品を下敷きにして寝転がる1人の男性。こんなFB上の悪ノリ画像が騒動を引き起こしてしまった。

この画像は6月17日に撮影。翌18日に友人のFBでアップされた。男性は幅約1・8メートル、奥行き0・8メートルのケースの中にスッポリ入り込んでおり、「もう22になる人が何をしゆがで」などの高知弁の文章も添付されていた。さらに、画像のケースに「LAWSON」の文字があったことなどから、撮影場所が「ローソン高知鴨部店」であることをネットユーザーが特定。「不衛生だ」などの書き込みが殺到、炎上状態になった。

ローソン本社にも連絡する人が続出し、同社で独自調査を開始。15日までに男性が同店の経営者の21歳の息子で、かつアルバイト従業員であることを確認、「不適切な行為」として即刻解雇した。ホームページ上では「お客さまには大変不安・不快な思いをさせてしまいましたことを心より深くお詫び申し上げます」と謝罪。さらに父親である経営者に対してもフランチャイズ契約を解除したことを通達、店の休業も決定した。

21歳にもなって、事の重大さが全くわかってなかったのもすごいですけども
なんでこの画像をわざわざFacebookにアップしたのかがわからない。。
デジタルデータは本人がどう思ってようが、あっという間に拡散するのに。

ローソン本部の対応はユーザーとしては当然だと思うんだけれども
あそこのFC契約の凄まじさを知ってるだけに、ここのオーナーが
この先どうやって生きていくのかを考えただけで辛くなってきます。

そして2つ目は広島県の16歳の少女の殺人事件のニュース。

LINEに「逮捕されるね」 広島、容疑の少女が第三者宛てに
http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013071501001840.html

広島県呉市の山中に元同級生(16)とみられる女性の遺体を遺棄したとして、死体遺棄容疑で逮捕された無職少女(16)が自首する前、無料通信アプリのLINE(ライン)に「(私たち)逮捕されるね」などと、第三者宛てのメッセージを送っていたことが15日、捜査関係者への取材で分かった。

呉署捜査本部は共犯関係をにおわせる内容とみており、相手の特定を進めている。

少女の友人によると、少女は自首して逮捕されるまでの間の13日昼ごろ、友人らの名前を挙げて「話して(自首を)決めた。今事情聴取している。皆裏切ってごめんね」「すごい動揺している」などともLINEに書き込んでいた。

LINEのタイムラインに投稿された文章人を一人殺しておいてこの文章を書けるその神経も恐ろしいのですけれども、それをわざわざなぜ誰もが見れるLINEの「タイムライン」に投稿するんでしょうか。

今の時点での供述では単独で犯行を行った、との事らしいですけれども、この投稿内容から見るとどう考えても共犯者がいるのは明白。

それよりなにより、殺してしまった相手への贖罪の言葉などが全く書かれてない(ように見える)のが、自分としては恐ろしすぎます。

相手の痛み以上に自分の事が大事だからこそ、命を奪った上にこんな文章をわざわざ誰もが見れる所に書いてしまう自己顕示欲の強さに吐き気がします。

言い方はとても悪いですけれども「協力者を売った」という結果すら伴う事になるかも知れませんね。

 

ネットという物に誰もが触るようになってから、まだ10年たらず。
「誰もが目にして、そして簡単に拡散され、未来永劫保存される可能性がある」という
大前提をもっと全ての人が噛み締める必要があるでしょう。

顔の見えない同じ趣味を持った者同士が、簡単に繋がる事が可能になったせいか
自己顕示欲を満たすためだけに、秘密をわざわざ見える所に書いてしまう人が
後を絶たないここ最近。

無料ブログを検索するといくらでも出てくる「不倫してます」という内容の物などは
どこそこに不倫相手と行ったとかの記録を克明に書いてあるものもあり
「こいつ本当にバカじゃなかろうか」と呆れ返る事もしばしば。
匿名だから大丈夫、なんて簡単に考えているんだろうけどもね。

インターネットに完全なる匿名なんてありえない。
書き込んでるデバイス、そして家のプロバイダ、ネットカフェの会員証、
これらすべてを偽造した身分証で契約していて、
最低でもプロキシなどの知識があればまだマシだけど、
そもそもそんな知識がある人間は秘密をネットなんぞに書きはしません。

秘密というのは口にした時点では秘密ではなくなる。
たとえ王様の耳がロバだろうが馬だろうが、黙っておくのが一番いいんですよ。