プラネタリウムで「観た」”The Dark Side of The Moon”が非常に良かったので、普段聴く音楽ももちろんフロイドが多めになる。
しかし、自分が今まで聴いてたのはほとんどの主導権を握ってたロジャー・ウォーターズが在籍してた時期のフロイドのみ。
その当時の最終アルバムは1983年の「ファイナル・カット」。
このアルバムを最後にウォーターズはフロイドを自ら脱退。
自分が脱退したらフロイドも解散するもんや、と思ってたらデヴィッド・ギルモア主体でフロイドの活動継続が決定するというオチに、ウォーターズは激怒してとっても醜い訴訟沙汰に発展。

結局ナンボかアンタにも払いますやんか、みたいな収まり方をしたんですが、こういうのは売れたグループにはつきまとうもんで。
ギターとドラムをクビにして新メンバー入れたアルバムがあまりにもアレで解散してしもたクラッシュとか「ワシが本家や」「いやワシが元祖や」「ワシこそが本物や」と一時は4つぐらいあったプラターズとかそういうのをいっぱい見てるので、まあようある話やわなと。
もはやプラターズの場合、ラーメン屋が暖簾分けの際に揉めるのと同じ話なのがなんともおかしい。

ビートルズですら4人メンバー中、二人がもう死んでしもてるのに、まだ新曲出しますからね。
個人的にはこの前の「ナウ・アンド・ゼン」はダメでした。
その前(とはいえ1995年)の「フリー・アズ・ア・バード」「リアル・ラブ」はなんともビートルズを感じたもんですがねえ。。
あの時はまだジョージ・ハリスンが存命だったのでジョージの個性がしっかり曲に反映されてました。
冒頭のスライド・ギター、そして何より「リアル・ラブ」のあの5小節のギターソロに涙したもんです。

フロイドに話を戻すと、自分は「ファイナル・カット」までは聴いてましたが、その後のギルモア主導のアルバムは今まで聴いた事ありませんでした。
ギルモア主導のフロイドは3枚のオリジナルアルバムを残してますが、それをちょっくら聴いてみようやないかと。
幸いにてAmazon Music Unlimitedで全アルバムが聴けるようになっております。

鬱(A Momentary Lapse of Reason)1987

とりあえずは年代順に視聴。
1曲目はSEから連なるキーボードサウンドがああフロイドっぽいな、と思ってましたが2曲目に突入した際のギターサウンドに違和感が。
モアーって感じの歪みサウンド、そしてドラムのゲートリバーブ・・・ああそうか1987年か・・

1986年に軽井沢でジェフ・ベック、サンタナ、スティーブ・ルカサーが共演したライブがあったんですが、その時のルカサーの音がエフェクトかけまくってて逆にヌケが悪かったのを思い出すギターサウンド。
流行りのサウンドがそれだったって事を踏まえて、これがピンク・フロイドと言われても正直「うーん?」って感じでした。
このアルバムを出した当時はキーボードのリック・ライト(「ザ・ウォール」録音中にウォーターズにより解雇された)がまだ復帰してなかったので、オリジナル・メンバーが二人しかいなかった事も反映されてるのかも知れません。

ただ、デヴィット・ギルモアが主導している事もあってか、円熟味が増したフレーズは圧巻。
全体的に「ピンク・フロイド」っていう看板を意識して、何とか作り上げたという感じがします。
このアルバムを聴いたロジャー・ウォーターズは案の定ボロクソ言うてたそうですが、ライブツアーの動員数では圧倒的にフロイド側が勝利だったそうで・・・・

対(The Division Bell)1994

前作から7年の時を経て制作されたこのアルバムからキーボードのリック・ライトがレコーディングに復帰。
1曲目のインスト「Cluster One」のピアノの音色・フレーズから「自分が思うピンク・フロイド」らしさ満開で一気に引き込まれます。

そして「What Do You Want From me」に突入すると、まさにギルモア節のサウンドが炸裂します。
そういえばこの人もずっとストラトキャスターを使ってはる人なんよな、と再認識しました。

自分がギルモアの音を初めて意識して聴いたのはポール・マッカートニーの「ひとりぼっちのロンリーナイト(1984)」が最初かと。

間奏、エンディングとデヴィット・ギルモア満開のギターソロ。

この「対」、7曲目の「Take it Back」のみ作風がモダンで浮いてる感あるんですが、調べてみるとやっぱりこの曲のみプロデューサーのボブ・エズリンの作曲だそうで。
「なんかU2の曲が混ざってんな」と正直思いました(笑)
やはりというかシングル曲だったようです。
別に無理してシングルださんでも、とは思うんですが、経済的な事情もあるでしょうし・・・ロジャー・ウォーターズにも銭払わんとアカンし(笑)

ただやっぱりオリジナル・メンバーの3/4が揃うってのはバンドの看板守る上では大きいんだな、と思いました。
このアルバムは今回聴いた3枚の中では一番お気に入りです。

永遠(The Endless River) 2014

前作から20年を経て発売されたこのアルバム、2008年に亡くなったリック・ライトへの追悼の意味を込めて制作されたものだとか。
前作のレコーディングセッションで残された20時間分のマテリアルを使って、ギルモアとメイスンが作り上げたそうで。
なので、ほとんどの曲がインストとなっています。
じっくり聴く、というよりは何かしながら聴くにはもってこいの環境音楽、という感じ。

このアルバムを出してからギルモアは「これが最後のアルバムだしツアーもない」と発言しています。
きっとそれがいいかな、と自分もこれを聴いて思いました。

ドラムのニック・メイスンは最近のインタビューでこう述べてるそうで。

「AIでどんな新しい音楽ができるのかを見るのは興味深い。それを使って、『ピンク・フロイドの行方はどこに?』って思うとね」「やるべきはデヴィッドとロジャーが再び友達に戻れるようなAIのシチュエーションを作ることだ。最終的にはABBA(のバーチャル・コンサート)のようになるかもしれないね」

いやそれは・・・・ややこしくなりそうやしやめておいた方が・・・・・

バンドというのは利益を追求する会社と全く同じ物、というのがこの年になるとよくわかるようになりました。
看板掲げる以上、利益を出さんと継続出来ませんしね。
ホール&オーツも今になって銭で揉めました。
それを夢を壊しやがって、と若い頃なら憤慨してたでしょうが、おっさんになった今は「そこが一番大事なとこよなあ」とウンウン頷くばかりです。