2018年11月に購入したエレアコ、DR-500MCE。
それがちょっとしたミスで壁掛けギタースタンドから落下させてしまいまして。
ものすごい音と共に落ちたので「あーだめだろうな・・」と思いながら拾い上げるとこう。
角度がついたヘッドからネックにかけて剥がれるように折れました。
リペアに出すと70,000円ぐらい、との事でそれやと本体購入価格超えるやん、と。
折った当日、さすがに少し心がどよーんとしたものの、頭のどこかに「なんとかなるやろ」という気持ちもありました。
Contents
修復編
現在の主流、とも言われるタイトボンドの存在を知る
ニカワかなんかでくっつけるのかなあ、と思いながら検索すると最近はクラフト現場でもある物が使われている事を知る。
それは「タイトボンド」。アメリカのフランクリン社という所が製造している木工用ボンドだとか。
木工用として主流なのはこの赤・緑・青の3色らしい。
なんせ今回はギターのネック。6本の弦の張力に負けないように復旧せねばならない。
なので、ウルティメイトと強そうな名前の緑のやつをチョイスする事にする。
ホームセンターを数件回ってみたもののどこにも売ってなかったので、Amazonで購入。
そして必要なのがネックを余裕で挟める大きさのクランプ。これはコーナンで3つ購入しました。
ネックを固定するための木片、そしてフレットを保護するためのコルクシートも購入。
こんか感じでコルクシートを木片に貼り合わせて、傷がつかないように工夫をば。
接着工程に突入
幸いというか、今回はヘッドだけがバキッと折れたわけでなく広い範囲で折れてくれたので接着面はかなり広い。
こんな感じで両面にモリモリで塗り重ねる。
クランプで圧着しながらはみ出た部分を拭きとって行けば隙間がなくなるであろう、という目論見である。
3本のクランプを1/4ぐらい回しながらはみ出たボンドを濡れタオルで拭き取る。
締め込みすぎてネックつぶしてしもてもアカンので、ここの力加減はかなり慎重にやりました。
そして、このまま1週間ほど放置しておきました。こういうのは慌てちゃダメなのさ。きっと。
研磨編
親指に感じる継ぎ目を消せ!
1週間経って、恐る恐るクランプを外してみたのがこちら。
おお。なかなかガッチリくっついてるやんかいさ。
しかし、さすがに左手の親指に継ぎ目を感じるのは頂けない。
塗装が剥がれてしまう事になるけども、ここはきっちりとヤスリをかけたほうがよかろうと。
まずは150番ぐらいの粗めの紙やすりで継ぎ目の部分をこすったあと、スポンジヤスリでネックの曲面に合わせてこする。
これも慌てたらアカン気がしたので、帰宅してまずシャコシャコというのを1週間ぐらい続けた。
ここまで来るともう継ぎ目はほぼ感じられくなった。
さあ、じゃあもうこの辺で弦を張ってみようかな、と思ったら、時代屋で知り合ったギタリストの方から
「ニス処理しないと夏の湿気でダメになりますよ」とのアドバイスを頂く。
そうか・・・・木のままやとそういう事もあるやろね・・・・
ニス。ニスなんて中学の技術家庭の授業で木工椅子を作った時以来じゃなかろうか。。
きっと色んなものがあるに違いないぞ。
塗装編
なんて種類があるんだニス!奥深いぞニス!
その足で近所のホームセンターに向かう。
塗装コーナーなんて今まで通ったことなかったな。。
そこには水性・水性ウレタン・油性ウレタン・ラッカー・セラックニスなどなど様々な種類のニスが。
うーん・・・わからんぞ。
薄め液とか買うのも面倒そうだし、なんせ臭いのは嫌だなって事で水性ウレタンニスを選びました。
最初に買ってきたのはこの和信ペイントの「水性ウレタンニス 透明クリヤー」。
友人からの「ハケはええもん買わないと毛が抜けて木にくっついて大変よ」とのアドバイスもあったので良いハケも同時に。
塗装面を整えるべくシャコシャコを続ける。
この段階で全部の塗装を剥がすのを諦めていたので、クリヤーニスだと他の部分との差が激しくなるんちゃうか、と。
そこでもう1回ホームセンターで水性ウレタンニスを購入。
同じ和信ペイントの「水性ウレタンニス オールナット」をチョイスした。
色つきで塗り重ねるともしかしたら他の部分との差もなくなるかもしれない、という素人予想で(笑)
ニスを出す容器は家にいくらでもある卵のパックを使用。
塗って乾かして耐水ペーパーでシャコシャコ。
これを7日間ほど根気よく繰り返したのがこちら。
さすがに完全に同じ色とはならんかったものの、手触りは完全に折れる前のアコギの感触そのものに。
最後は車用のコンパウンドで磨き上げた。
ナットを打ち込んで接着。さあ、後は弦を張るだけだ。
発動編
今までのキャリアでこんなにもチューニングが怖い時があったろうか
弦を1本ずつ張り直していく。
チューニングしてる最中にメキッてもう1回折れたらどうしよう。。
まずは2音下げ、次は1音下げ、半音下げとチューニングしながらネックの状態を何度も見る。
・・・・・よっしゃレギュラーまで上げるで!と気合いでペグを回す。
・・・・大丈夫やんっ!
しかし、安心してはいけない。このまま3日ほど放置する。
3日後に2音ぐらい下がってるとすれば今回の修理は失敗であろう。
3日後、ギターを持って弾いてみるとほぼチューニングした時のままでした。
弦を伸ばしつつ「以前のように」ギターを扱ってみてもなんの問題もなし!
さすがにトラスロッドまでは怖くてよう回せませんでしたが(笑)
弦のビビリもなし、思ってた以上の修復が出来たので自分としては満足な結果になりました。
折れ方がラッキーだった、と修復を終えた今は強く思います。
ネック裏の塗装の剥がれもコイツの「勲章」みたいなもんになってくれればいいなあ。