世の中には「一発屋」という呼ばれ方をするアーティストがそれなりにいます。
こういったコンピレーションも出たりしていますからね。
なんというかこの編集版を作った人らに対しては「失礼」という言葉しか感じないわけですけどもね。
ここに収録されているアーティストの中には今でもちゃんと活動してはる人も多いので。
つーか、ウルトラヴォックスの「ニュー・ヨーロピアンズ」とかを選ぶんじゃないっての。
そういう不名誉な呼ばれ方をするアーティストの中に「ザ・ナック」がいてはります。
1979年に「Get the Knack」でデビュー、「マイ・シャローナ」が6週連続1位という衝撃的なデビューでした。
かく言うワタクシもこの曲をきっかけに洋楽の世界に足を踏み入れたのです。
ラジオにかじり付いては今のヒットチャートの曲をノートに書いて覚えたりしておりました。
あの「ドドダダドッタッ」というGのオクターブのみで構成されるリフ。
同じ様なリフで構成されている曲ではThe Clashの「Train in Vain(Stand by me)」がありますけれども、テクニックいらず、そして思い切りキャッチーといういわば開き直りに近い形でのアレンジを思いつく事自体すごいな、と。
とはいえ当時はまだ小学生だったので、アルバムを買える程の財力はなし。
そのアルバム、「Get the Knack」をCDで購入したのは20歳過ぎたぐらいですかね。
このジャケットからして当時「80年代のビートルズ」というプロモーションで売り出された感がいっぱい。
ナックがデビューした前年、1978年のチャートといえばディスコ一色だったので、こういうシンプルなバンドサウンドはめちゃめちゃ新鮮だったんでしょうね。
そのアルバム、いわば「マイ・シャローナ」目当てで買ったんですが1曲目の「Let Me Out」の疾走感・カッコよさにすっかりファンになってしまいまして。
これは・・・・・・好みだ!!!!
特にドラムのブルース・ゲイリーのドライブ感にやられてしまいました。
ポリスのスチュアート・コープランドばりのドラムの鳴らしっぷりがめちゃめちゃかっこええ。
バディ・ホリーの「Heartbeat」を選ぶそのカバーセンスも素晴らしい。
すかさず輸入盤を探す日々。
2ndアルバムの「But the Little Girls Understand」ではキンクスの「ハード・ウェイ」なんぞをチョイスしていて、このアルバムもめっさ聴きましたね。
しかし、その次の「Round Trip」はどうしても輸入盤が見つかりませんでした。
そして、そのまま一旦ナックは解散してしまったそうで、1991年当時はこの2枚だけを所時。
そして1994年、なんとナックが再結成してアルバムを出す、と。
タワーレコードでなかなかプッシュされていたので視聴してみると・・・
なんや、えらいアメリカナイズされたアレンジになって復活しておりまして(笑)
ボストンかおい、みたいな。
もちろん買って持ってたんですが、いまいち何度も聴こうという気にはならんかったんですわね。
その後はあまり噂も聞かないまま、2010年にボーカルのダグ・フィージャーが亡くなるという結末を迎えます。
昨夜、ふとナックのライブってそういえば見た事ないなと思ってYoutubeを検索。
すると亡くなる前の2007年のライブ映像を発見しました。
え、このドラム・・・・・パット・トーピー(Mr.Big)ですやん。
ドラマーには珍しい男前(失礼)、そしてあのクラッシュシンバルをさっと止めるプレイ。
どこに居てもすぐにわかります(笑)
ナックのサウンドにはほんとピッタリの人選やと思いました。
どうやらこのライブはDVDとして発売されているようですね。
それにしても、この2人のギターのサウンド。。なんてナチュラルでいい音なんでしょうか。
なんとなく勢いで再結成して適当にやってます~みたいなベテランバンドも多い中、このライブを見ると「俺達はずっとサーキットしてきたぜ!」という貫禄があります。
年を重ねてもバンドを続けるという事がいかに大変なのか、今は身にしみてわかりますので(笑)
今ではボーカルのダグもドラムのパットもお空に帰ってしまいましたので、もうナックのライブを見ることは無理なんですけども、こういう大人の余裕を感じるロックンロールを自分も奏でれればなあと思います。
そういえばこの映像でギターのバートン・アヴェールが使っているアンプ・・・・・・
どう見ても今自分が売りに出そうとしているFender Hotrod Devilleなんですよね(笑)
ああ~~うう・・・・ど、どうしましょうかw
「一発屋」って言い方についてですが。
たった1曲、ひとつでも自分の名刺代わりになる作品を持てるという事がどんなに難しく、そして幸せな事か。
この世界に生きた証を残せるって事はめっちゃ素晴らしいと思うんですけどね僕は。