サブスク時代において、映画の見方って本当に変わってしまいました。
定額払うとどのデバイスからもアクセス出来る、というお気軽さはちょいと昔には考えられなかったですわね。
007シリーズを1から見てるわけですが冒頭30分は家のデスクトップ、後はリビング、そして寝る時にスマホと縦横無尽。

これはこれで実はありがたかったりする。
なんせ、隙間隙間で見ていかなきゃならないほど日々は色んな事に忙殺されている。
佐野元春は「情けない週末(1980)」で「生活という『うすのろ』」と歌いましたが、うすのろどころかシャアザクぐらい速いわっ。
生きる事より食っていく事の維持の為にお金を稼ぎ、子供達にメシを食わせ、ふっと気付けばもう月末。
通帳から無慈悲にもバッカスカとお金は出ていって「うっそーん・・・・」と思いながら新しい月が始まる。

佐野元春が「情けない週末」を書いたのは中学生の頃だとか。
あー・・・・ね。そりゃうすのろだよね。親に依存している状況ではそりゃそうだわ。
日本も中学生から勤労出来るように労働基準法を改正すればいかがだろうか。

で、自分自身も生活がうすのろだった頃にエラくハマった「機動戦士ガンダム」。
テレビシリーズでもいわゆるメインストーリーに絡まない良エピソードだった15話「ククルス・ドアンの島」が、リメイクされて劇場版になりましてね。
「機動戦士ガンダム」はテレビ版は全43話で構成されてましたが、これが当時「劇場版3部作」に分割されて公開されてます。
その際にもこの「ククルス・ドアンの島」は丸々カット。
後年、漫画でテレビシリーズが再構成された「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」でも「ククルス・ドアンの島」は丸々カット。
で、このテレビ版の「ククルス・ドアンの島」は現場が回らなくなってきた頃に外注丸投げ、という事情があったらしく、作画崩壊で有名なのです。

当時、作画監督だった安彦良和氏は「ずっと心残りだった」とあちこちで発言しており、だから今回の映画化になったのかな。
つーか、なんで映画館だけなのよ・・・・ORIGINのアニメの時みたいに有料配信してくれよ・・・

またどうせ梅田とか難波でだけで上映とかなんちゃうん・・・・と調べてみたら近所のイオンシネマ茨木で21:40からのレイトショーが!
おお、これなら子供らが寝る準備に入ってからダッシュで行けば間に合うやないの。

「ちょっとお父さん今日映画見に行ってくるわ!」
「えー、いいなあ。何見るん?」
「ガンダム」
「あー・・・・・・行ってらっしゃい」

バカヤロウ。あー・・・・とか言うな(笑)

イオンシネマ茨木に21:20に到着。
上映時間を確認しようとディスプレイを見ると右下に「仮想メモリ最小値が低すぎます」のメッセージが・・・これ、WindowsXP、よね確か。

もうファーストガンダムの声優さんもほぼ亡くなってはるんですが、キャストはORIGINのアニメ版の人がそのまま起用されてるようです。
ウーロン茶買って、いざ座席へ。
・・・・・・・うそん。自分含めて二人だけ、っすか・・・

映画の感想

設定は「THE ORIGIN」に準拠

懐かしのホワイトベースの面々が画面に出てくると「わー、懐かしいな」と思ってましたが、スレッガーさんがいるのに違和感。
そうか、じゃあこれはテレビ版ではなくて「THE ORIGIN」の設定に基づいてのアニメ化なのか。
テレビ版は地球降下から北米→太平洋横断→アジア横断→オデッサ作戦→ベルファスト→ジャブロー→再び宇宙。
再構築された漫画版は地球降下から北米→南下してジャブロー→ベルファスト→オデッサ作戦→再び宇宙。
スレッガーさんはジャブローでホワイトベースに乗り込んでくるので、今回の「ククルス・ドアンの島」はジャブローからベルファストに向かう間のエピソード、という事になります。
セイラさんに「今度(俺の乗るGMをコア・ブースターの)背中に乗せてもらえる?」と言うて、思いっきりシバかれてたのに爆笑。

劇中、アムロが夢にうなされるシーンがあるんですが、そこに大気圏突入中のホワイトベースが描かれてます。
そこでのホワイトベースが「羽を畳んで大気圏突入にふさわしい形状に変形している」描写に変更されてました(笑)
40年前のアニメやし、そういうとこはやっぱりブラッシュアップしていかんとねえ。

テレビ版のBGMが再アレンジして何曲か使用されていたのも感動、でしたね。
ああ、スタッフの原作愛が溢れてるやん・・・・・使い回しじゃなくてちゃんとアレンジしてるのがヨシ。

ただ、20分弱の尺を2時間ぐらいにしたんであれば、もうちょいククルス・ドアンの事情に踏み込んでも良かったんちゃいますかねえ。
この「あくまでも原作の設定知ってる人限定」的なお話の作り方はどうかと。
なんでこの島にドアンが来て、子供らと過ごすようになったか、というのが何一つ語られませんw

もうガンダムファンであれば設定の後付けなんぞ「何でも来い」状態なので、別にこの辺は気にならなくなってます。
高機動型ザク(地上型)なんていう「はあ?」みたいな機体が登場しますが、ドントシンク、フィールです。
考えるな、感じろ。地上をホバーで移動するザクが出てきても「カッコイイ」だけ言えばいいのです。
色々ねきっと事情があるのよ。新しいプラモが出るんや、とかね。
設定なんて飾りです。偉い人(コア過ぎるファン)にはそれがわからんのですよ。

テレビ版も今回の映画版もラスト・シーンはドアンの乗ってたザクをガンダムが海に投棄するシーン。
テレビ版では何トンもあるザクを思いっきり遠くにブン投げてたガンダムでしたが、さすがに今回は真下に落としてましたね(笑)

個人的には「めっちゃ良かったー」という感想ではあるんですけども、あんま評判ヨロシクないみたいですねえ。
安彦良和氏は「もうこれで思い残すことないので映像化はしない」と言うてはりましたけども、そんな事言わずに!

映画が終わって映画館を出たのは日付が変わる頃。
そのまま銭湯に寄ってゆっくりとさせてもらいましたとさ。