ゲーム、音楽などのエンターテイメントを始めとして
世相などなどでよく言われるのがこの「昔の方が良かった」という言葉。

いわゆる対象物への評価、と言う事なのだけれども
ふと「この評価というのは公平なものなんだろうか?」と考えたりします。

僕は暇な時など、Youtubeのオススメ動画やランキングなどに目を通して
なるべく最近の物に触れる努力をしてるのだけれども
懐かしい動画のコメントなどによく書かれているのがこんな感じの言葉。

「昔はよかった。今のバンド(歌手)にもこれを見習えと言いたい」

いわゆる「今の業界全体」に対して、ダメ出しをする感じの物言いなんですが
こういう言い方をする人は恐らく当時、好きだった対象物に入れ込んで
そのまま大人になった人なのでしょう。

たとえば、なんの予備知識もない子どもにビートルズとコールドプレイ聞かせても
どっちが古いかなんて全然わかんないはずなので、
「今のバンドも見習え」なんて言葉は出てこないはずです。

使える時間があり余るほどあった子供時代、何もなかった予備知識、
そして子供には絶対にない「想い出の補正効果」が発生してしまう我々おっさんが
果たして正当に比較なんて出来るんでしょうか。

自分が思うのは「好き・嫌い」で判断している間は子供で
「良い・悪い」を口にするようになったら大人になった、という事。
そして、様々なエンターテイメントの主なターゲットは「好き・嫌い」で
判断する子供たちが大半なんだろうな、という事です。

「好き・嫌い」の時代に寝食問わず熱中し、また良い事以外は忘れてしまうという
悲しきおっさんの思い出補正がかかった物と、
「良い・悪い」という判断基準が加わってから目にする物を正当に比較する事は
恐らく自分には出来ないかも知れません。

思い起こせば、サザンが「勝手にシンドバッド」でデビューして
テレビに出まくってた頃、親父は「なんじゃこいつらは!」って激怒してました(笑)

テクノロジーが進化して録音なども簡単に補正が出来る今と昔では
表現者の実力が違うんじゃないか、という見方もあるでしょうけども
天地真理も松田聖子もAKB48もその時代の大人たちには存分に叩かれてたし
これからもそれは変わらない気がします。

「良い・悪い」という判断基準が加わる事自体は良いことだと思うし
年を重ねていく以上、これはもう仕方のない事だと思いますけども
全てをフラットにして「好きか嫌いか」という見方が出来る様な大人でありたいですな。