毎年この時期恒例のサーバー構築の案件があったので、
友人が経営している会社まで久しぶりに電車に乗って出かけた。
土曜日のお昼間、少々ゆったりと流れる時間と空気をのほほんと味わいながら
電車の窓から風景を楽しんだりと、少しばかり贅沢な感じ。

現場に着くとなんやかんやと色々ありまして気づけば終電近し。

やっべー!と小走りで駅に急ぎ、あわてて電車に駆け込んだ。
ぜえぜえ言いながら体力の衰えを嘆いていると
「おれはなー!」と耳をつんざく野太い声が。

30前後の男2人組。大層お酒を召していらっしゃるご様子。
まあ、もちろん周りの空気なんて読めてません。
サタデイナイト、酔っ払うのもいいでしょう。
お仕事お疲れ様です!さぞかし飲んで楽しいやろねえ。
しかし、ここはそんな場所じゃないぞ。

土曜の夜、人もまばらな電車の中で繰り広げられる痴態に
少々苦笑いしながらすこし離れた所に座った。
わざわざ最前列で見たい様なクオリティのコンビではないせいだ。

「おれなー、今、自分探ししてんねん。ここはオレの場所やないねん!」
「おお、オレもやねん。今の自分は自分らしくないねん」

まあ。盗んだバイクで走り出す年齢ならともかく
倍以上もお年を召したグッドルッキングガイズが何をほざいてるのかしら。

自分なんてね、わざわざ探さなくても
朝起きて鏡見たらそこに立ってますよ。
それがどれだけくたびれてようが、自分で選んで歩いてきた慣れの果て。
それと向き合う事を避ける根性なしにどんな場所があるんでしょうね。

酒飲んで酔っ払ってそんな事言っても、どうせ朝には忘れてるはず。
そうやって毎日過ごしてきたから今の毎日がそこにあるだけのお話。

本当の自分はどこにある?とかどっかで聞いたような事を口にしても
そんなもん、本当は自分が一番よく知ってるくせに。
だから酒飲んでグダグダグダグダ言ってるんじゃねえか。

いつからかよく耳にするようになった「自分さがし」って言葉。
僕はこれがとっても嫌いだ。
やる気のなさの免罪符みたいに黄門様の印籠の様に使われ出して
ますますイライラするようになってしまいました。

セットで「いつかはこの空も飛べるはず」ですか?
飛べるはずないだろ、我々は人類ですぞ。羽なんぞ生えてこないんだよ。

向き合うべきはその鏡の中にいる自分とたったひとつの現実でしょうに。

でも、自分が一番嫌いなのはたぶん、酔っ払いなのだろうと思う。
一滴も呑まない自分からしたら、仕方なしに参加した飲み会とかで
さんざん絡んで来て、翌朝なーんも覚えてなくて
ケロッと「おっはよー」とか言ってる人見ると、なんて非効率だとしか
思えないんですわね(笑)

電車を降りて、バス停に向かったらもう最終バスは出た後だった。
その時思ったのさ。

オレもこの空を飛べたらって。

・・・・歩いて帰ったわ。Run&Walk起動して。