新年度に変わった初日は月に一度のユニットで京都で演奏でした。
このユニットは大好きなビートルズの曲が多めなので
すべての演奏が終わった真夜中でも、とてもテンションが高かったのです。

他のユニットでは帰りに誰かを送ったりしているのだけども
このユニットの際は帰りは一人で運転。
高いテンションも手伝ったのか、帰りはちょっと遠回りして
亀岡から山道を抜けて帰ろう、と思い立って国道9号線を西へ。

亀岡から大阪に抜ける府道6号線というのがあるんだけれども
そこは数カ月前に土砂崩れがあって長らく封鎖されていた。
しかし、新しい道が開通したという噂を聞いて、そこを走ってみたかったんである。

桂に差し掛かった時に新しい道路(地下トンネル)が完成してたのを知る。
「おおー、これでここも混まなくなるのかなあ」と感慨深くトンネルを抜けると
そこには見覚えのない松屋が。

「こんなとこにあったっけ?」と思いつつも、若干腹も減ってたので
ここに立ち寄って食事をした。

今思えばそれがいけなかったのかも知れない。

松屋を出て亀岡方面に再度車を走らせる。

新しい道に感動しながら車を走らせていたのだけど
急激に襲い来る眠気・・・・
脇に停めて仮眠しようにも、そこは完全に山の中。
真夜中という事もあり、人気どころか対向車さえいない所で車を停めて
仮眠する根性はない。

ブラックブラックを複数、口の中に放り込んで噛みまくりながら
なんとか家まで数キロの所までたどり着いた所で限界が来た。

まだ営業していない野菜直売所の駐車場に車を停めて仮眠することに。
・・・・30分ぐらい眠っただろうか。
眠気が去った次に襲い来るのは・・・・・・腹痛。

そう。デカイ方の予感だ。
コンビニもない山道。しかし家まであと数キロ。
色んなリミットを超えるまでに帰りつくしか術はない。

あたふたしながら家までたどり着いた。
いつもなら車を出しやすくするためにバックで入れるのだけれども
そんな余裕はすでにない。
乱暴に頭から車を突っ込んで、家に向かって階段を登る。

・・・・・もはや走れない・・・・

一段とばしで階段をあがる事なんてもはや出来ない状態で
ゆっくりと歩を進めるのだけれど、そのスピードでは限界突破は必死。

頭の中でトイレにたどり着く時間を考えた。
・・・・・もはや一か八かしかない。
ドアの前にたどり着いた時、僕の身体は90度に折れ曲がっていたかと思う。
そしてまともな思考能力はすでにどこかに行ってるので
さっきまで手に持っていた家の鍵の所在すらわからない。

なんとか鍵を見つけてガチャガチャと乱暴な音を立ててドアを開けて
目指すはトイレだゴーゴーウェスト。

なんでオレはシザーバッグなんてぶら下げてるんだ、と憤慨したのはこの時が初めて。
普段ならベルトだけ外せばいいだけなのに、なぜこの時に限って余計な物があるのだ。

・・・・・なんとか間に合った。
社会人として、大人としての誇りを守れた事に安堵した僕は風呂に。

風呂から上がってパジャマを着ようとしたのだけれども
色んな出来事で疲れ果てていたのか、ズボンを履くための足が上がらない。

寝床の上で座って、ズボンを足に入れたまま後ろに倒れこんで
・・・・・そのまま眠ってしまったらしい。
起きたら履きかけのズボンが、太もも辺りで止まったなんとも情けない姿だった。

嫁さんに「なんで車が頭から突っ込んであるん?」と聞かれて
「まあ聞いてよ。昨日の出来事を・・」とありのままに話したら

「もうおっさんやな」

わかってるんだよそんな事は。わかってるんだ。

嘘じゃないんだよ、本当の話なんだと真剣に嫁さんに伝えてる事自体が
なんだかとても悲しくなってきたのだった。