マンガはそれなりに読む方ですが、週刊誌で追っかけるのはもうやめました。
今ではコミックスの新刊をコンビニで見かけたら買うぐらいのもんですが
たまにBOOKOFFなどで古いマンガを買ってみたりもする。

20歳過ぎの時に読んで大変感銘を受けた、というか人格形成に相当な影響を与えたのが
狩撫麻礼氏原作、たなか亜希夫画の「迷走王ボーダー」というマンガ。

当時はアクションに連載されてたこのマンガですが、職場に誰かが持ってきてたものを
読んでただけでコミックスを買い集めるまでには至らなかったんですが
読みたいな、と思った時にはすでに廃刊になっておりました。
10年後ぐらいに配送の仕事してた時に配送途中の古本屋を巡ってようやく集めきりました。
今では宝物となってますが、どうやら文庫サイズで復刊されてるようで(笑)

狩撫麻礼氏の原作で書かれてる漫画は相当数あるんですが、彼の独特の世界観は
80年代に形成されつつあった管理社会への徹底的な反抗精神がベースになってます。
あの当時、自分も若いなりにそれなりに悩んで屈折してた自覚はあったので
この作者の作風に惹かれたのでしょう(笑)

最近、改めて思い出したのがあの「ジパング」や「僕はビートルズ」のかわぐちかいじ氏と
タッグを組んで描かれてたという「ハード&ルーズ」というマンガ。
とはいえ、主人公がタイムスリップするわけではありません。
個人で探偵業を営む不器用な団塊世代の30代男性が主人公、という
なんとも狩撫麻礼的な世界観にマッチする設定なのですよ。

個人で探偵業という設定の漫画と言えば「代打屋トーゴー」なんてのもありました。

こちらはどっちかというとコミカルな漫画でしたが、
このように一人で仕事をしている、という事に対して憧れがあったんでしょうね。
それで今に至るといえば、なんとなく自分の今までの道のりにも納得せざるを得ません(笑)

「ハード&ルーズ」をこの度、全7巻入手することが出来て
一気に読んでみたんですけども、バリバリの狩撫麻礼的世界でした。
「迷走王ボーダー」でもキーワードとして登場するボクシングとボブ・マーリィも
しっかりとこちらには登場しており、世間といまいち馴染めない人達が描かれるのは
どちらも共通しています。

自分が年を取って、マンガの中の主人公達より年上になってしまったせいもありますが
やっぱり20年という時間は「一昔前」なんだなと感慨深いですね。
描かれてる世界感や主人公の思考などは確かに好みではあるんだけども
それはあくまで当時の感情などを作品として吐き出しているので
そこから20年以上も生きてきた自分のささやかな経験と比べるとやっぱり青臭く感じます。

終身雇用という言葉が普通に言われてたのが自分の20代でしたから
それを考えると価値観って本当に変わってしまいました。
「ハード&ルーズ」では組織に所属せず個人で仕事をするなんて変わり者、と描かれてますが
ここ最近では「起業せよ!」とあらゆる人が叫んでいるわけです。

でもその当時の自分の気持ちを思い出せるのが、音楽や漫画の良いところ。
その時に感じた色んな事の延長線上に、今の自分がいてるのかどうかを考えた時に
「うん、大丈夫。問題ない。」と少しビビりながら言えるぐらいには
頑張って生きてきたんだなあ、とか思ったり(笑)

まだもう少し、思い描いたものには届いてはいませんが
このマンガを読んで当時の気持ちを自分に再度取り込める事が出来てラッキーでした。
思い出したように本棚から取りだして読む物が増えて嬉しいです。

そういえば狩撫麻礼氏とたなか亜希夫氏は最近もう一度タッグを組んで
「リバースエッジ 大川端探偵社」というマンガを連載しているようです。
(狩撫氏はペンネームをひじかた憂峰に変更している)
こちらはまだ一度も読んだことがないので読んでみたいなあ。