4月のリコール騒ぎ以来、ディーラーには全く用事がなかったのだけれど
この度電話がかかってきて無料点検しますよーって事で時間を作って出かける事にした。

なんせホンダディーラーで買ったカローラスパシオ、という変わった経緯。
さすがにリコールまではホンダでは作業出来ないとの事で
あの時は仕方なく近所のトヨタに出向いたわけですが
なんとなく事務的に流された感があったので、あまり行く気がなかったんですけども
「無料」という言葉に弱いのと、最近右後ろのパワーウィンドウが動かなくなったので
無料ついでに点検だけでもしてもらおうかグヘヘヘヘというセコさ満開の思考で
予約した14時にトヨタディーラーに到着。

てっきり電話をくれた営業の男性(イケメン)が出迎えてくれるのかな、と思ったが
「こんにちわ!」と出迎えてくれたのはツナギを着た女の子。

ほほう、整備士の女の子か。
しかも黒髪を後ろでくくり、若干野暮ったさの残る感じの笑顔。
都会的な匂いはほぼ皆無で、なんて言うんだろ。
ALWAYS三丁目夕陽的な匂いを残すそのたたずまい。

これは・・・・この店のおっさん(40代)対策なのか・・・・
このルックスは正直言って反則である。

「じゃあすぐに点検しますので中でお待ちください!」
「あ、はい」

過去、SONYのCDプレーヤーが修理から帰って来たら治ってなくて
サービスセンターにゴルア電話した時に「折り返し電話させます」と告げられ
かかってきた電話は、なんともたどたどしい女の子の声だった事を思い出す。
「こ、この度は、あのっ、申し訳ありませんでした。」って電話口で言われて
「おまえんとこはなー」なんて言えるおっさんはなかなかいまい。

「あ、うん。別に急いでないから大丈夫ですよ。ハハハ」
そしてSONYは修理員を派遣して、なんと我が家でCDプレーヤーを治してしまった。
今考えるとあれはクレーマー対策だったのかも知れない。
ほとんどのおっさんは女の子をあてがうとおとなしくなる、という法則の上なのかも。

そんな事を考えながら出されたアイスコーヒーを飲んでいると
整備士の女の子が満面の笑みを浮かべてこちらにやってきた。

「いまざっと点検したんですけど、ワイパーがちょっとヘタってますねえ」
ワイパーごとき自分で替えれる。こう見えても三級整備士なんだオレは。(関係ない)
しかし、つい口から「あっそうー、じゃあ替えてもらおうかなー」と言いそうになる。

「あ、そうなんや。ありがとう」と返す。

「それからタイヤもけっこう減ってますねえ」
タイヤはNANKANG製で充分だと以前認識している。
それどころか今ではもうタイヤチェンジャーが使える環境もある。
しかし、つい口から「あっそうー、じゃあ替えてもらおうかなー♪」と言いそうになる。

「あ、そうなんや。あ、ありがとう」と返す。

「そうですかw じゃあパワーウィンドウの点検今からしますね!」
そう言って彼女はピットに戻っていった。

第一ラウンドはなんとか判定勝ち。

しばらくして彼女が戻ってくる。

「今ドアの内張剥がして見たんですけど、モーターがもう寿命かなーと。
でも応急処置しておきましたんで、動く様にはなりました!」

いい娘じゃないか(Ain’t She Sweet)
ジーン・ヴィンセントも君には降参するだろう。

「次動かなくなったらもう交換ですねー。その時また来て下さいね!」

ああ、飛んで来るさ。君のために、って言いそうになったけども
「あ、そうなんや。あ、あ、ありがとう」と返す。

「じゃあ本日はありがとうございました!」と送られてディーラーを後にする。

モーターが悪けりゃどっかから引っ張ってきて自分で替えりゃいいかな、とか
考えながら車を走らせる。

「Do it Yourself」精神でずっとやってきた元パンクロッカーのおっさんは
黒髪の野暮ったい女の子にすっかり負けている事をこの時まだ気づいてない。

・・・・・名刺もらっときゃよかったかな。