ハナモゲラボ / 試行錯誤の実験人生

日々、PCや各種デバイス、楽器等に翻弄されながら電脳の森をさまよう男の日常と様々な実験をさらりと記しております。

「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」をようやく見ました

June 22 2015

クレーン車に吊された鉄球が建物を破壊していく。
自分が生まれてから初めての冬である1972年2月28日の軽井沢での光景。
幼い頃からニュース番組などで垣間見るこの映像はずっと心に引っかかっていた。

https://www.youtube.com/watch?v=3fN5E6tjQU0

学校が教えてくれなかった終戦以降の歴史は、自分で勉強していくしかない。
そう思って色んな本を読んできたけど、昭和という歴史は63年も続き
自分が高校生の時に終わりを告げました。
なのに、その時点で昭和20年の終戦までしか授業のカリキュラムになかったのは
そりゃおかしいお話なのですよ、本当はね。

この「あさま山荘事件」はそれに至るまでの流れの方が実は重要で
その辺のお話はあさま山荘事件を経て逮捕されたリーダー格、坂口弘(以下敬称略)が
獄中で書いた「あさま山荘1972」3部作が一番詳しいと思います。

あさま山荘事件の映像化、という事に関しては
警察側からの視点で描かれた「突入せよ! 「あさま山荘」事件」も見ましたし
原作である佐々敦之の「連合赤軍「あさま山荘」事件―実戦「危機管理」 (文春文庫)」も
読みましたが、犯人側の事は完全にモブキャラ扱いなのでいまいちわかりづらい。
そもそも上記のどちらも佐々氏の「オレすげーだろ?」な部分が少々鼻につくのが難点。
(そりゃ長野県警から協力断られるわな・・と映画見て、そして本読めばわかります)

連合赤軍側の事を映像化したものと言えば「光の雨」もありましたが
さすがに凄惨な同志リンチ事件を直接描くのには抵抗があったのか
「映画の中で映画を撮影している」という劇中劇になっておりました。
裕木奈江さんの演技が凄まじすぎたので、劇中劇でも充分恐ろしかったですが。

その「光の雨」を見て、「あんなんじゃないんだ!」と奮起したのが若松孝二監督。
彼が私財投げうって撮影したのが「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」。

公開当時、映画館で見る事が出来なかったので、かなり悔やんでたんですが
ようやくDVDで見る事が出来ました。

時代背景から丁寧に説明していく冒頭の流れは退屈ではありましたが
これがないと追い詰められていく過程がわからないのでいい判断だったと思います。

全出演者にマネージャーの帯同禁止、メイクも自前、そして合宿生活を経て
撮影も時系列に沿って行う、という手法で制作されたのはダテじゃなく
山岳ベースでの臨場感は凄まじいものがありました。

あさま山荘の場面に至っては徹底的に山荘内部からの映像しか使わず
鉄球もクレーンも一切なし。
これは予算の関係もあったのかも知れないですが、逆にこれは
「突入せよ!あさま山荘」との対比が取れててよかったんじゃないかと思います。

でも、ここで加藤元久(当時16歳)に「勇気が無かったんだよ!」ってセリフを
言わせたのは、ちょいとセンチメンタル過ぎた気がしますね。
この場面だけが、今まで読んできた物からかなり逸脱して見えました。
元赤軍派の金廣志は2012年に開かれたシンポジウム

若松孝二監督は「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」で、加藤君に「勇気がなかった」と言わせている。そう言わせることで、観客は満足できる。市民社会に取り込もうとする。しかし、それは事件の矮小化だ。

と発言していますが、それと同じような感想を僕も持ちました。

植垣康博(あさま山荘事件直前に軽井沢駅で検挙)は
「勇気がなかったんじゃなくて勇気がありすぎた」と同じシンポジウムで発言しています。
http://d.hatena.ne.jp/hontuma4262/20120513/1336930040

この場面のあのセリフは若松孝二監督のインタビューによると
「観客へのメッセージ」という事らしいですけども、そういう思想自体に興味がなく
ただ事実だけを知りたい僕みたいな人間ですら「そりゃないだろ」としか思えませんでした。

でも、このあさま山荘に連なる事件、そして赤軍側の事情を
手っ取り早く知りたいのであればこの映画を先に見るのが一番いいかと。
それのガイドブックとして坂口弘の「あさま山荘1972」を読めばほぼ網羅出来ます。
あとは興味次第で各自の手記を読んでいけばいいと思います。

手記と言えば、
山岳ベースで同志へのリンチが始まり、人が数人死んでから
ベースを脱走したメンバー達がいますが、その人達は誰も手記を出してないんですな。
http://ww5.tiki.ne.jp/~qyoshida/jikenbo/037sekigun03.htm

中には「総括」の名の下に罵声を浴びせて同志を殴ったりした人達もいるでしょう。
「このままじゃ自分も危ない」と脱走して(もちろん全員逮捕されてる)から
今までの人生、どんな気分で生きてきたんだろうか。

そういえばこの記事を書いてる際に色々調べてたのだけど
「あさってDANCE」の山本直樹先生が連合赤軍をモデルにした漫画「レッド」を
現在でも連載中だという事を知りました。
これもちょっと読んでみたいです。

それにしてもかなりヘビーな映画でした。もう一回見るとなるとかなり勇気がいります。
1970年代初頭も今も、劣等感からくるコンプレックス、そしてイジメの構図
若さ故の真面目さ、無知さ、純粋さ、全ては何一つ変わらないんだなと思いました。
人間である為の普通のバランス、普通という名の狂気は時代とは無縁なり。
自分はここで描かれている彼らの「普通」は嫌悪しておりますしが故に
だからこそ、こういう事件は知り尽くして生きていく為の教訓にしたいのです。

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