前々から見たいと思ってた海外ドラマ「ザ・パシフィック」を全話見終えました。

このドラマは「バンド・オブ・ブラザーズ」の制作陣が
ヨーロッパ戦線ではなく太平洋戦線を舞台に制作したドラマで
スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスが制作総指揮を執りました。
「プライベート・ライアン」でもお馴染みのコンビですね。

今回の「ザ・パシフィック」は太平洋戦線が舞台という事で
我々日本人が敵として描かれる側になります。
このドラマの制作発表を聞いた時に「日本で放映できるんだろうか?」と
思ったんですけども、無事に放映され、今ではBlu-rayでも発売されております。

というのも、FPSゲームとしては有名なコール・オブ・デューティシリーズの
第5作目である「World at War」も同じように太平洋戦線が舞台のゲームだったんですが
結局、日本での発売は未だに見送られたままだったからなんですね。
海外版を入手して遊びましたけども、「天皇陛下バンザーイ!」と
銃剣片手に突っ込んでくる描写がいっぱいで、こりゃあ無理だな・・と思ったもんです。

プレイ動画はこちら。(舞台はペリリュー上陸作戦)

これはとてもじゃないが、日本では発売できそうもありません・・・

今まではナチスドイツが敵として描かれてても所詮他人事でしたけども
今回のこれでようやくドイツの人の気持ちがわかったような気がします。
このゲームの日本での発売がない、という時に
「ザ・パシフィック」の制作発表を聞いたもんですから
このドラマも日本での公開がないんじゃないかな・・・と思ったわけです。

さて、この「ザ・パシフィック」。
前作(といってもいいのかな)の「バンド・オブ・ブラザーズ」と違って
コミカルな描写などはほとんどなく、徹底した戦場の悲惨さを前面に押し出しています。

全10話は3人の登場人物を中心に展開されていくのですが
第1話で、一人の主人公の父親(医者)が
「兵士にとって身体の傷はたいした事はない。心の傷が手に負えないんだ。」と語りますが
全話通じてこのテーマで統一された脚本でお話は進んでいきます。

日本側の描写も映画「パール・ハーバー」みたいに最悪な描写はされていなくて
ちゃんと日本人エキストラを起用しての撮影を行っています。

第9話の「沖縄」では、鉄血勤皇隊のエピソードなども挿入されており
日本人としてはなかなかヘヴィーな描写が続きます・・
子供抱いた民間人女性のお腹に爆弾巻いて突っ込ませる、というのは
原作にはない描写だそうですけども、それについての詳しい記事はこちら

アメリカ兵が日本兵の死体から金歯を抜いて集める、という描写もあり
一昔前の「アメリカ=英雄」的な描き方ではない部分がこのドラマを
余計に陰鬱なものにしていると思いました。

戦場という所で人間(兵士・一般人)はどう変わってしまうのか?という事を
重点的にとりあげたこの2シリーズ、めちゃめちゃ重い話が多いのですけども
個人的にはこの「ザ・パシフィック」も何度も見返したい作品となりました。

誰だって人をわざわざ殺したくない、と思うんですよね。まともな人間ならば。
戦争という状況下、そして軍隊という組織下で
いかに人間とはたやすくタガが外れてしまうものなのか、というエピソードを
ちゃんと取り入れてるのが、僕がこのシリーズを好きな理由なんだろうな、と。