色々と毎日の生活してるとふと「責任者出てこい!」と言いたくなる時がある。
(ご飯が品切れだという事に手持ちの肉が焼き終わってから知らされるとか)
その台詞、いったいどこの記憶の引き出しから出てきてるんだろうと思えば

人生幸朗・生恵幸子師匠である。
僕はこのお二人の漫才を見ながら育ったので今でも大好きだ。
ATOKに「じんせいこうろう」と辞書登録するぐらいに。

もうお二人とも鬼籍に入られてこの世にはいないが
お二人の芸はいまや後を継ぐものがいないぐらいに崇高だ。

夫婦ならではの息のあったやりとり、そして流行歌にツッコム芸風。
今ではこれを許すような遊び心が音楽業界にはすでにない気がする。
なにか言えば炎上→謝罪、というギスギスした世の中にこのお二人は存在できたのだろうか。

僕が好きだったのは沖田浩之の「E気持」に対してのツッコミだ。

「ABCDE気持ちぃ?・・・・・・・・・この大馬鹿モン!!」
あまりにもストレートで気持ちよすぎるのです。

まあまあきいとくんなはれ。ゆっくりかきますさかい。

生恵幸子師匠が発する言葉に「この泥ガメ!」という名ゼリフがあるが
これは幸朗師匠が目が悪くて「あと30秒」のカンペが見えないために
それを伝えるための合図だったと言われているそうです。
そういうエピソードを知る度に、このご夫婦の絆を感じてしまうのです。

流行歌に対してツッコムという芸風という事は
流行歌を聴きまくる、という下準備が必要だったって事よね。
このお年になって、流行歌を聴くというのは正直苦痛だったと思う。
40歳の僕でさえ、「好み」というものが確立されていて
テレビなどでAKB48が「遭いたかった~遭いたかった~遭いたかった~」と連呼していると
「じゃかましいわ!オノレが遭いに来いこのボケ!」と師匠ばりに突っ込んでしまう。

「いつになっても『勉強』」というのを実践しているからこその芸風。
これはどんな世界においてもやっぱり大事な事なんだなあ、と
お二人の軽やかな漫才を聞いていると思うのです。

夫婦ぼやき漫才というジャンルはもうこの先出てこないのだろうか。
僕が将来年老いて、充分僕という人間を理解してくれる妻が隣にまだいてくれたら
こんなやりとりをしてみたいなあ、と思っています。

参考文献:人生幸朗・生恵幸子のwikipedia